Compassブログ ~人生という航海へ向けて~

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【漫画感想】まくむすび(1)~(5)

今回はまくむすびという漫画について紹介します。

 

高校の演劇部を舞台にした、演劇漫画です。

とても好きな作品だったのですが、5巻で打ち切り完結となってしまいました。

しかし、このことは決してまくむすびの魅力を損なうものではないと思っています。

 

【あらすじ】

舞台は星見高校。

新入生の土暮咲良(つちくれさくら)は入部する部活を迷っていました。

咲良は漫画を描くことが好きだったのですが、

子供のころ、”届けられなかった”経験から、人に見せることに臆病になっていました。

 

新入生歓迎会の部活紹介にて、演劇部は短編の劇を実演します。

脚本はどこから入手したのか、咲良が”届けられなかった”物語。

 

自分が”届けられなかった物語”が、

多くの人に”届いたのを見た咲良は―――。

 

紆余曲折の末、咲良は演劇部に入り、愉快な先輩・同級生と全国大会を目指します。

 

1人3年生のママ先輩。

2年生のジャス子先輩、ボーズ先輩。

そして、同級生のいもに、リューグー。

 

時に壁にぶつかり・苦難しながら、仲間たちと物語をむすんでいきます。

1巻では上記入部から、”あおはるマルシェ”用脚本を書きあげるところまでです。

”あおはるマルシェ”とは、地域の高校演劇合同発表会です。

 

2巻では、出来上がった”あおはるマルシェ”用部隊の練習~公演までです。

”あおはるマルシェ”に向けて、一生懸命練習していたむすびたちですが、

とある問題に巻き込まれてしまいます。

問題と向き合う中で、むすびは大きな葛藤に苦しむことになります。

そして、公演当日―――。

むすびたちの公演が描かれているわけですが、初々しく、そして純粋にいい舞台です。

 

3巻は公演後~ワークショップへの参加まで。 

公演終了後、講評タイムです。

講評者の1人は地元の劇団”タンタンコロリン”の班目さん。

例年は同劇団の華村さんという女性なのですが、

華村さんが体調を崩してしまい代打参加。

この班目さんが、鋭く厳しい指摘をばっさばっさと生徒たちに浴びせかけてしまいます。

同じ表現者としての立場から。

 

この辛口審査について、華村さんから合同ワークショップへの招待が届きます。

ワークショップとは、体験練習会、みたいな感じです。

そして、いざワークショップ!

 

4巻はワークショップ回。

一言自己紹介や嘘自己紹介、数のすり合わせゲーム、

そして、グループを組んでの寸劇。

 

また、今巻では別高校の脚本家、柳淵ことギブとの邂逅があります。

ギブは終始傲岸不遜な態度をとった上、脚本家土暮咲良に異様な執着を示します。

果たしてその理由は。

 

ギブは態度はやっぱり褒められたものではないですが、

創作と向き合う態度・姿勢事態には、共感を覚えます。

 

そして最終5巻。文化祭公演。

元々大会向けの脚本の練習と使用と思っていたが、

むすびがふと思いついたアイデア

そして、それを公演したいと部員たち。

 

公演をどうしたいかをめぐって、それぞれの思いがぶつかります。 

高校生の不器用なふるまいと純粋な思いの交錯が、

物語の魅力をより一層深堀しています。

 

【魅力】

まくむすびを一言で言うなら青春だと思います。

 

青春なんて抽象的な言葉ですが、私は、

青春とは、全力で、がむしゃらに、向こう見ずに、

挑戦し、悩み、それでも壁にぶつかっていくもの、だと思っています。

 

その結果が成功でなくてもです。

 

 

基本的には大団円が好きですが、

失敗に嘆き、葛藤に苦しむ様もまた愛おしいのです。

なぜなら、私たちは弱い人間だから。

 いつだって失敗するし、どうでもいいことで悩んだりする人間だから。

 

そういった、私たちが当たり前に苦しんでいることに苦しんでいるキャラクターを見ると、

どうしたって感情移入してしまいます。

 

この漫画のみんなも、それぞれ悩みを抱えて、

それでも全力で表現に向き合っています。

 

演劇という作品作りに全力でぶつかっていく彼女たちの姿に、

胸を打たれてやまないのです。

 

 

 

まくむすびでは、非常に魅力的な場面がたくさんあります。

とくに、表現の喜び・苦しみや、登場人物の葛藤が丁寧に描かれています。

青春漫画で一番大好きな部分です。

 

例えば、以下のようなセリフ。

人の表現を見て笑うのは

表現の喜びを知らない奴らだ

引用:保谷伸「まくむすび1」

ジャス子先輩が咲良を誘いに来たシーンです。

 

 

もし君がここに立つというのならば

私が君に新しい名をあげよう

引用:保谷伸「まくむすび1」

直前で舞台が恐ろしい場所であることを語っています。

そして、それでも、誰かに届けたいものがあるのならば、ともに行こうと。

 

表現の喜びも苦しさもひっくるめて、

ともに行こうではないか、という誘い。

表現を誰かに見せることに臆病になっていた咲良に一歩を踏み出す勇気を授ける言葉。

 

涙なしには読めないシーンです。

 

かくして、土暮咲良は”むすび”として、演劇の世界に足を踏み入れるのです。

 

ここでいう、ジャス子やむすびは部名という、

部活内で使うあだ名のことですね。

 

他には4巻は地元の劇団にワークショップに行く回になっているのですが、

そこでもむすびの葛藤が丁寧に描かれています。

間違えるのが怖いんです

引用:保谷伸「まくむすび4」

ワークショップで即興劇をやることになり、

脚本を書くことになったむすび。

ちゃんとしたものを書かなければならない。

けれど良いアイデアが浮かばない。

同じグループになった子たちともぎくしゃくしてしまう。

 

むすびの根底には正しくあらねばならぬ、という考えがあります。

それはおそらく、過去自分の表現が受け入れられなかったことが関係しているものと思われますが。

 

でもこれって、誰しもが覚えがある感情じゃないでしょうか。 

この等身大の悩みに苦しんでいる姿が、

すごく共感できるんですよ。

 

にっちもさっちもいかない状況で、不安をこぼしたむすびに劇団員のタツさんがフォローの言葉をかけるのです。

何度だって失敗しろ

失敗して周りに助けてもらって

もっともっと作りゃいい

そしたら自然といいもんになんべ

引用:保谷伸「まくむすび4」

 

タツさんのこのフォローがいいです!

そうです!

失敗したっていいんですよ!!

 

むしろ、私はあえて言いたい。

私たちは間違えねばならない、と。

間違いの、失敗の中にこそ、次への光明があるのだと。

始めから完璧にできる人なんていない。

だから、間違えて、直して、また間違えて、直して。

そのサイクルをぐるんぐるん回して、より良いものへ改善していく。

大切なのはその姿勢ではないでしょうか。

だからこそ、間違えねばならない

間違えを恐れて、何もできないでいれば、何も改善なんてしない。

 

5巻では、文化祭公演が描かれています。

ここで、ジャス子先輩の抱える問題、

そして、なぜ演劇部の既存部員がこんなにも少ないのかという謎が紐解かれます。

 

そこには、表現するものの葛藤が描かれています。

色々問題はあったと思います。

意固地になって、間違えたふるまいをとってしまった部分もあります。

そこに描かれている葛藤や苦しみが、

非常に胸打つものになっています。

 

結果として、物語はこの文化祭公演で終わってしまいます。

元々の目標だった大会までは、残念ながら描かれていません。

 

それでも、この文化祭公演までで、

この演劇部の在り方を描き切っており、

魅力的な物語として、ひとつの区切りを迎えられていると私は思います。

 

まとめ

以上が、まくむすびの感想です。

本当に、5巻で終わってしまったことが惜しまれます。

 

惜しいとは思いますが、

ここまででも、こんな魅力的な物語に触れられたことを嬉しく思います。

 

表現・・・。

表現って難しいですよね。

私も、ブログを通じて表現者の一端を担っていると、

おこがましくも思っています。

 

どんな書き方をすれば、伝わるのか。

この書き方で誰か傷つける人はいないか。

まあ私のブログなんて、読んでいる人は少ないわけなんですが。

 

それでも、うーん。

根底には、”知ってもらいたい”、”分かってほしい”という、
願いがあるんですよね。

それができているかは、まったくの別問題ですが。

 

そして、表現って別に特別なことじゃなくて、

演劇含むアーティストの方とかこういうブログとかYouTuberとか、

そういうことだけが表現じゃなくて。

表現って普段から私たちが当たり前にしていることだと思うんですよね。

 

例えば、普段の会話・コミュニケーション。

これも何かを分かりあうという意味で表現だと思っているし、

Twitterとかも表現ですよね。

 

だから、私たちが普段当たり前にしていることの延長で悩み苦しんでいるむすびたちの姿に、

どうしても自分を重ねてしまうんですよね。

 

そういったところが、私がまくむすびに魅了された理由だと思います。

 

以上。

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